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安楽病棟 ポスター [演劇宣伝美術:劇団青年座]

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2018 劇団青年座

原作=帚木蓬生『安楽病棟』(新潮文庫刊)
脚本=シライケイタ
演出=磯村純

美術=根来美咲
照明=中川隆一
音響=中島正人
衣裳=小泉美都
舞台監督=尾花真
製作=森正敏、川上英四郎
宣伝美術=早田二郎
企画協力=新潮社

キャスト=児玉謙次/名取幸政/山野史人/永幡洋/長克巳/嶋崎伸夫/堀部隆一/石母田史朗
/鹿野宗健/岩倉高子/阪上和子/藤夏子/山本与志恵/吉本選江/五味多恵子/野沢由香里/津田真澄/小暮智美/井口恭子/世奈/橋本菜摘

●東京に住む私は実家のある秋田市内の老人ホームに母の面倒を看ていただいています。二年ぶりに依頼を受けた青年座本公演の舞台は老人ホーム。幾人もの老人が登場し、若い日の回想を含んだ各々の世界が立ち現れます。終末医療の問題に切り込む重いテーマを含んだ物語なのですが、ポスターは暗い感じにはしたくありませんでした。死を感じさせるよりむしろ生命を感じさせたかった。ちょっとボケが入ってきている人々の、混沌としつつもユーモラスなさまを前面に出すことと、出演者総勢21人の群像劇である点を表現したいと考えました。製作の川上さんに、各出演者の若い頃のお気に入りの写真を5枚づつ集めていただきコラージュしました。なので表面の画像に役者さんの現在の姿は一切含まれていません。芝居の宣材としてはある意味攻めたアイデアです。ウラ面にも今の顔は載せないことを提案しましたが、さすがにそれは却下されました。かなりアバンギャルドなアイデアですが、当方のわがままを快く通してくださった製作の森さん、川上さん、演出の磯村さん、並びに関係各位の方々に深く感謝する次第です。終末を迎えた老人達の人間模様を描くこの作品の入校日の早朝に、ホームから母の死の知らせを受けました。コピーの内容があまりに現実を反映していて個人的に深い因縁を感じる仕事になりました。
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エレクトリック・ギター革命史 [リットーミュージック]

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2018 リットーミュージック

●ハードとしてのエレキギター。その発達史を綴った洋書の翻訳本。500ページを越える大著です。本文に束の出る紙を使用したため背幅は約40ミリあります。オリジナルのカバーは様々な機種をコラージュして1本のギターに見せた力作で良かったのですが、使用不可なので日本語版は独自にデザインしました。エポックなギター12本をアナログ時計の文字盤をそれとなく想起させるように配置し、ロゴには久々の常套句書体を使用してみました。カバーを取ると本表紙はシルバーのベタです。編集担当の坂口さんから、タイトルロゴの書体のせいで古い社員の方にはハヤタがデザインしたことがすぐに分かるとの言葉をいただきました。
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ヒプノシス全作品集 [シンコーミュージック]

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2018 シンコーミュージック

●既に出版されている英語版の翻訳本です。デザイン・レイアウトは変更不可なので帯以外は自分の仕事といえないのですが珍しい体験だったので備忘録的にアップしました。原盤の画像データをそのまま使うために香港で印刷します。英語版のオリジナルデータを預かり、翻訳された日本語に置き換える作業をします。原文と同じ文字サイズでは小さく感じてしまうので日本語では若干級数を上げ(写植世代なのでポイントではなくQ数を使います)行間の調整により動かせない文字スペースとの辻褄を合わせます。見出し類には日本語だと明らかに大きすぎるものもあり一部かなり小さくました。このニュアンスの違いが面白いです。
書体は英数字はオリジナルのものと揃えたかったのですが提供は不可とのことで全て小塚Gを使いました。全ページ置き換えたら画像をはずし、文字をグラフィック化したものを印刷用pdfに変換します。そうして出来上がった極めて軽いデータを香港に送ります。現地で画像のみを残したオリジナルデータに日本語本文を貼り込んでもらうという段取りでした。元々イギリスで作られたインデザインのデータをこちらで上手く扱えるのか不安でしたが杞憂でした。ほぼノートラブル。楽譜が世界共通であるように現在のデザイン作業も国や言語を越えますね。オリジナルはとてもカッチリとできたクリーンなものでしたが、わずかにゴミの取り忘れなど「あるある」的なエラーもあり和みます。プログレに嵌まった高校時代から強い印象を残し、ある意味随分世話になったデザイン集団の本です。ここまで興味深い仕事も珍しいものでした。
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